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【見知らぬ訪問者が告げた「労働組合結成」】

組織を揺るがす突然の通告と、真の防衛が始まった日

ある日の朝、社長室に、一通の報告が舞い込んできました。
「会社の者ではない知らない奴が、「組合結成届」と称する書類を持ってやって来ました!」
動揺した表情で語る幹部社員の言葉に、経営陣は一瞬、言葉を失った。

この会社は大阪府内にある建築会社で、多くの協力企業と連携しながら社会の安全を支えてきた、誇りある企業です。しかしこの日、想定を超える「内部からの揺さぶり」が始まりました。

訪問者は、にこやかさも礼節も持たず、突然書類を社長室の机に叩きつけたといいます。
「労働組合を結成した。団体交渉を要求する!!」

その場にいた社員たちは皆、圧力とも言えるその振る舞いに息を呑みました。
しかもその代表者は、自社の従業員ではなく、見たこともない人物でした。


放置していた1ヶ月、突如届いた労働局からの通知

最初の接触から1か月、会社は“様子を見る”という選択をしていました。
団体交渉の意味も分からず、まさか本格的な行動に出てくるとは考えていなかったからです。
ところがある日、突然「労働局」から一通の通知が届きました。
その文面には、こう記されていました。

「正当な理由なく団体交渉に応じない行為は、不当労働行為に当たる」

経営陣は初めてその言葉の重さに気づきました。
慌てて弁護士事務所を訪れた社長は、「団体交渉は法的に拒否できない義務であり、対応を誤れば行政指導や命令を受ける可能性もある」と説明されました。

【参考】
労働組合法第7条第2号
「使用者が、正当な理由なくして、労働組合の代表者との団体交渉を拒むこと」は不当労働行為とされます。

相談相手は、大学時代の柔道部の先輩だった

追い詰められた社長は、信頼できる人物の顔が浮かびました。
それは、大学時代に所属していた柔道部の先輩でした。
仲間からの信頼も厚かったその先輩に相談したところ、
「お前の会社のような時にこそ頼れる奴がいる。高校時代の俺の柔道部の同級生が、元警察官で、今は危機管理の会社をやってる。すぐに相談しに行け!」
そして紹介されたのが、私たちディフェンス・カンパニーでした。

奇しくも、当社代表とその先輩は、高校時代の柔道部の同級生。
勝利も敗北も、汗と土とともに共有したあの時間が、年月を経てこの場で再びつながったのです。


団体交渉の舞台に立つ


当社スタッフをその会社の取締役就任させ、当社の顧問弁護士にも正式に依頼をし、共に団体交渉の場に立つ体制を整えました。
目的は明確です。
「事実と法に基づき、冷静かつ毅然と対応すること」

交渉当日、30名以上の“組合員”と名乗る者たちが会議室に押し寄せました。
明らかに外部の人間ばかりで、会社の従業員は1名だけでした。
一方的な質問に対して、こちらが一言発すれば、怒号が浴びせられます。
机を叩き、言葉を遮り、威圧的な空気で支配しようとするその態度に、社内の誰もが圧倒されかけていました。

しかし、私たちは一切動じませんでした。
「交渉の当事者資格はどうなっているのか。」
「そもそも、会社の内情を知らない方々が沢山押し寄せてきていますが、そこの端に座って先程から大声を上げているあなた、当社の賃金規程を読んだことあるのですか?当社の特殊な賃金ルールについて答えてみて下さい。」

「要求の法的根拠は何か?具体的に詳細を説明下さい。」
「この交渉によって企業が受ける不利益はどのように担保されるのでしょうか。」
冷静に、論理的に、そして静かに、ひとつひとつを淡々と詰めていき、膠着状態で1回目の団体交渉は終了しました。

次なる脅し「駅前でビラを撒くぞ」「会社前で街宣をする」

数週間後、2回目の交渉が行われました。
今回、彼らが持ち出してきたのは「駅前でビラを撒く」「会社前で街宣をする」という宣言でした。
「要求が通らないのなら、街頭で訴える。これは正当な労働運動だ」


「どうぞ、お好きにしてください。ただし、その行為が社会的信用を傷つける虚偽や誇張による不当なものであると認定された場合には、当社としても法的措置を講じますので、覚悟の上でどうぞ」

その瞬間、彼らの表情が変わりました。
法の論理と事実の力が、威圧よりも強く響いたのです。


揺さぶりの果てに

交渉は、数回にわたって行われました。
要求は毎回のように内容を変えながら続きましたが、私たちは一貫して、どんな言葉にも逃げずに耳を傾け、事実と法に基づき、誠実に対応し続けました。

その姿勢は、次第に場の空気を変えていきました。
強気だった声のトーンが少しずつ落ち着き始め、怒号のあった会議室に、沈黙が流れる時間が増えていきました。

ふとした沈黙の中で、もともと社内で不満を抱いていた従業員が口を開きました。
目を伏せながら、ぽつりとこう言ったのです。

「最初は、簡単に外部の労組に頼めば金が取れるって言われたんです。
それで軽い気持ちで入ってしまいました。
でも、ここまで真摯に話を聞いてくれる会社を前にして……
なんだか、申し訳なくなってきました。
もう、こんなこと……やめます」

その言葉に、交渉の場にいた社員でもない“組合員”たちは言葉を失い、
しばらくの間、誰も声を発しませんでした。
場に静寂が広がり、空気がまるで変わってしまったかのようでした。

やがて、沈黙の中で組合長がゆっくりと口を開きました。

「・・・当の本人がそう言うのであれば、これで、団体交渉は終了とさせていただきます。」

私たちはこのとき、勝ったとも負けたとも思いませんでした。
ただ、会社という場所が、真正面から向き合い続けることで、
誰かの心に届くことがあると、あらためて実感した瞬間でした。

おわりに

企業にとっての危機は、外部からだけやってくるわけではありません。
時として“内部からの不満”という名を借りた不当な圧力が、組織を根本から揺さぶってきます。

そんな時、最も重要なのは「事実を見極める力」と「逃げない胆力」です。
正しく恐れ、正しく立ち向かうことでしか、企業と社員の未来は守れません。

私たちディフェンス・カンパニーは、法と経験に裏打ちされた知見で、
こうした場面において真に頼れる“最後の砦”となることを使命としています。


【ディフェンスカンパニーの格言】

「真実に立脚する者は、最後に勝つ!」

嘘や誇張ではなく、事実と証拠に基づいて闘う者こそが、最終的に信頼を勝ち取ります。


※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。
法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。