ナイト産業を支える企業で発覚した内部不正
大阪の中心地。煌びやかなネオンの裏側で、あるホールディングス企業の会長が静かに怒りを燃やしていた。 ナイト産業、美容、不動産、投資など、多角的に展開する同社。その頂点に立つ会長のもとに、ある日一本の“噂”が舞い込む。「子会社の社長が、裏で業者と結託して現金を受け取っているらしい」 最も信頼していた男の裏切り──その報せは、会長の胸に深く突き刺さった。
【不正発覚の経緯と問題の本質】
その噂は、まるで静かに広がる毒のようだった。証拠は何一つない。しかし、疑惑は確信へと変わっていく。 業者からのキックバック──それも、帳簿上は正当な支出として処理されている巧妙な手口。 会長はすぐに顧問弁護士法人に対応を依頼し、代表を含む三名の弁護士が動いた。 彼らは、1億円に及ぶ被害の告訴状を作成し、警察署に提出。しかし、待ち受けていたのは冷ややかな現実だった。 「証拠がない以上、これは受理できません」 静かに言い放たれたその一言に、会長の怒りは頂点に達した。
【ディフェンス・カンパニーが提供する解決策】
ある日、出入り業者のT社長と世間話の中で、会長はふとこの話を漏らした。「裏切られて、どうにもならんのや……」 そのとき、T社長の表情が変わる。「もしかしたら、助けになる人物がいるかもしれません。元大阪府警で、今は危機管理のプロ集団を率いている人です」
紹介を受けた当社へ、会長は顧問弁護士と共にやってきた。 彼の目には、「どうしても許せない」という強い怒りと悔しさ、そして、わずかな希望の光が宿っていた。
私たちが告訴状に目を通したとき、警察が不受理とした理由はすぐに理解できた。立証が困難な1億円全体に踏み込もうとするのではなく、その中でも“明らかに不自然”で、“証拠が揃う”部分を切り出すこと。 それこそが、警察を動かすための戦略だった。
会長に提案した。
「5年間の取引資料から、事件の核をあぶり出しましょう。経理担当と連携し、プロジェクトチームを組んで徹底的に調査します」
翌週、用意された部屋に入ると、30箱の段ボールが壁際にずらりと積まれていた──。
それらをひとつずつ開封し、取引書類や契約書、領収書を精査していく。10日後、ついに“使える材料”が見つかる。
・不自然に高額な発注が2件、100万円と50万円。
・その金の流れに関する証言が複数の社員から得られた。
・そして、キックバックを受け取ったとされる社長と接点のある業者の代表が、関係を認めたのだ。
決定的だったのは、業者社長に対して元刑事が直接ヒアリングした場面だ。まるで現役刑事の尋問のように静かで鋭い追及。 「この金は何の対価ですか」 一瞬の沈黙のあと、業者社長は観念したように頷いた。
そして、私たちは“自首”を促した。
「逃げても何も変わらない。罪を償って、再出発するんや」
弁護士が再度告訴状を整え、担当者の出頭と共に警察署へ提出。 ついに、キックバック事件の告訴が正式に受理された。
【逮捕の報】
正式に告訴が受理されてから約2週間後──。
ある朝、警察署から会長のもとに一本の連絡が入った。
「先ほど、キックバックを受け取っていた当該子会社社長を通常逮捕しました。」
ついに、信頼を裏切り、会社を蝕んでいた人物に法の裁きが下されたのだ。
その報を聞いた会長は、
「ディフェンス・カンパニーがいなければ、この怒りも、悔しさも、どこへ向ければよかったのか分からなかった。最後まで諦めず、動いてくれて本当にありがとう。」と語った。
その言葉には、怒りを超えた「救われた人間の本音」があった。
私たちは、企業の信頼と秩序を守ることこそが、自らの使命だとあらためて実感した瞬間だった。
【法的視点と実務のズレ】
刑法246条(詐欺罪)や253条(背任罪)は、今回のような事案で構成されることが多い。 しかし、実務においては「動かせる証拠」がなければ、警察も検察も一歩も動けないのが現実。
私たちは、「元刑事だからこそ知っている」捜査現場のリアルを踏まえて、法と現場の“橋渡し”を行います。
【内部統制が崩れるとき】
この不正が5年間も見過ごされていた背景には、
〇 経営者の盲信
〇 経理チェックの甘さ
〇 出入業者との私的関係
といった、“信頼”に依存した脆弱な内部統制がありました。
【ディフェンス・カンパニーが提供するリスク管理体制】
当社では、以下のような内部不正を未然に防ぐ体制づくりを支援しております。
〇 定期的な契約書・帳簿のレビュー
〇 業者選定の透明性を担保する入札設計
〇 匿名通報制度の導入
〇 経営幹部向け「危機察知力」強化トレーニング
【おわりに】
人は誰しも、信じたい相手がいる。だが、信じることと任せきることは違う。 裏切りは静かに近づき、企業を根元から侵す──。 私たちディフェンス・カンパニーは、企業とその信頼を守るため、常に現場で向き合います。
もし今、何か違和感を抱えているなら、それは兆候かもしれません。 ぜひ一度、ご相談ください。
【ディフェンス・カンパニーの格言】
沈黙の裏切りは、行動の正義で砕け
静かに進行する内部崩壊には、静かに立ち向かう覚悟が必要です。
※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。 法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。