沈黙を破るのは、法でもなく声でもない“影の盾”が動くときである
関西圏の住宅地に拠点を構えるA社は、従業員わずか8名の小さな製造業。現社長であるB社長は、先代から会社を引き継いで約10年、現場出身のたたき上げの経営者として、社員との距離が近く、家族経営に近い温かな社風を築いていた。
ある日、B社長の携帯に非通知で1本の電話がかかってくる。
「おたくの従業員、昔モノを横流ししてたって話、知ってるか?」
くぐもった声はすぐに切られた。いたずらかと思われたが、それを境に、工場の前に見知らぬ車が停まるようになり、社員の家族にまで無言電話がかかり始めた。
社内には動揺が広がり、社員の一人が「妻が怖がって、もう辞めたいと言い出してる」と口にするほどに。
恐怖は静かに、しかし確実に会社を蝕んでいた。
【相談しても、動いてくれない現実】
不安を抱えたB社長は、顧問弁護士に相談を持ちかけた。しかし、返ってきたのは冷静すぎる答えだった。
「証拠がありません。現時点では、具体的に対処できる段階ではないかと」
それは正論だった。だが、正論だけでは会社も人も守れない。
「このままじゃ、社員が崩れる。会社ごと壊れてしまう…」
悩み抜いた末、B社長は1人の知人を思い出した。かつてSNSで誹謗中傷を受け、事業の継続すら危うくなった時期に、ディフェンス・カンパニーに助けられたという人物だった。
「俺は本当に救われた。困っているなら、迷わず相談してみろ」
その言葉に背中を押され、B社長は初めてディフェンス・カンパニーへ連絡を取った。
【静かに始まる反撃の準備】
相談を受けた当社は即日、現地でのヒアリングと工場周辺の状況確認を行い、初動調査に着手した。
防犯カメラの死角と車両の停車位置、従業員とその家族への聞き取り、さらに過去の離職者データやSNSでの不審な投稿まで徹底的に洗い出していった。
やがて、過去にトラブルを起こして自己都合退職した元従業員C氏の存在が浮上する。C氏は社内で問題を繰り返し、B氏との衝突の末に去っていた人物だ。調査を進めると、C氏のSNSには「いつか仕返ししてやる」「許さん」という投稿が複数見つかり、周囲への恨み言も記録されていた。
そしてさらに調査を深めた結果、決定的な事実が判明する。
当社の調査員が掴んだのは、C氏が別企業で勤務中、在庫品を横流ししフリマサイトで転売していた違法行為の証拠だった。第三者名義での口座と出品記録、映像記録を照合したところ、本人による行為と特定され、関係先の証言も確保された。
この事実をもって、当社の顧問弁護士に正式対応を依頼。
弁護士は即座にA社の代理人として交渉受任を行い、C氏に対して内容証明郵便を送付。文面には、以下の二点が明確に記された。
- 今回の一連の嫌がらせ行為に対し、民事上の損害賠償請求を準備している
- 併せて、刑法上の脅迫罪・業務妨害罪等に該当し得るとして刑事告訴も辞さない
【静寂の向こうから届いた謝罪】
通知から3日後、C氏から当社顧問弁護士のもとへ連絡が入った。
「すべて私がやりました。訴えは…取り下げていただけないでしょうか…もう二度と関わりません。本当に申し訳ありませんでした」
正式な謝罪と、今後一切の接触を断つ旨の誓約書が弁護士事務所に提出された。
これにより、事態は沈静化。無言電話も、不審車両の目撃も、すべて止んだ。
【会社に春が戻った日】
B社長から当社に一通の連絡が届いた。
「社員が“久しぶりに、家族で落ち着いて晩ごはんを食べられた”と笑っていました。社長として、これ以上の報酬はありません。本当に、ありがとうございました」
誰にも知られることなく、人知れず守られた会社の空気。
それこそが、当社ディフェンス・カンパニーの成果だった。
【おわりに】
「証拠がないから仕方がない」
「弁護士が動けないから、何もできない」
そうやって見逃されてきた小さな危機の先に、中小企業の破綻や人の人生の破綻がある。
ディフェンス・カンパニーは、法律の“前”で動く存在。
企業の背後で、まだ形にならない危機を、静かに、確実に断ち切ります。
【ディフェンス・カンパニーの格言】
静かな脅威ほど、放置してはいけない。対処する力がある者だけが、誰かを守れる
※この格言は、被害者が声を上げにくい「無言の圧力」や「微細な嫌がらせ」こそ早期対応が重要であり、放置せず、冷静に証拠を固めて対処することが真の防衛につながるという教訓です。
※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。
法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。