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【顧客が奪われた】

静かに始まった従業員の裏切りとの闘い


「お世話になりました。次のステージでもがんばります」

甲社の営業部を長年支えてきた社員・B氏は、退職時にそう言って頭を下げた。花束を渡し、拍手で送り出す光景には、涙を浮かべる同僚もいた。しかし、その数週間後、甲社に異変が起こる。

長年の上得意先が、突如として「他社と契約を結ぶことにしました」と通告してきたのだ。しかも、その相手は、B氏が設立したばかりの新会社だった。

A社長は愕然とした。まさか、あのB氏が独立し、しかも甲社の顧客を狙って営業をかけていたとは。

「まさか、あいつが……?」

疑念を抱いたA社長が当社ディフェンス・カンパニーに相談を持ちかけた。

【ディフェンス・カンパニーが提供した解決策】

① 顧客へのヒアリング支援による情報収集

信頼関係を壊さず丁寧に聞き取りを行い、B氏から営業連絡を受けていた事実を複数の顧客から確認。B氏が甲社在籍中から情報を収集していた可能性が浮上。

② 顧客管理システムのアクセス履歴解析

退職前のB氏のアクセス履歴を精査。特定顧客の連絡先や案件ファイルを繰り返しダウンロードしていた記録を確認。

③ 秘密保持契約の未締結状況の確認とリスク評価

B氏との間で秘密保持契約および競業避止契約が結ばれていなかったことを確認。これにより、甲社が法的主張を行う上での困難と限界が判明。

④ 当社による徹底した内部調査で判明した不正の発見

当社警察OBとして捜査官点から徹底した調査を実施したところ、B氏が在職中に会社経費を個人的な用途に流用していた事実が判明。具体的には、実在しない取引先との接待交際費として水増し請求された領収書や、架空の会食を装った経費清算記録が見つかった。さらに、会社の承諾を得ていない外注業務に対する費用請求や、私的な交通費の混入など、複数の詐欺的行為が帳票や申請履歴から確認された。これにより、B氏の信用性を法的にも大きく揺るがす材料が揃った。

⑤ 内容証明郵便の送付と警告(当社顧問弁護士)

当社が収集した証拠を基に、当社が紹介した顧問弁護士と甲社が正式に委任契約を締結。弁護士を通じて、正式な内容証明郵便を送付した。文書では、B氏の行為は単なる不適切行為ではなく、内部データの無断持ち出しは刑法上の窃盗罪、経費の不正請求は詐欺罪に該当する可能性があることを明記。その上で、営業活動の即時停止と、企業秘密の使用禁止、損害賠償を含む誠意ある対応を求めた。刑事告訴の準備が進められていることも併せて通告した。

⑥ 顧客先との信頼回復のための企業説明資料作成

広報部門と連携し、誠実な対応と顧客保護に努める姿勢を示す資料を作成。失った信頼の再構築を図った。

⑦ 再発防止に向けた社内ルールの再設計支援

就業規則に新たに秘密保持および競業避止に関する条文を追加するよう指導。また、退職手続きのフロー見直しとデータアクセス管理の強化を支援。

【解決へ】

当社の徹底した調査により、B氏の顧客情報持ち出しだけでなく、過去に複数の不正行為が存在していたことが明らかとなった。

この調査結果をもとに、当社顧問弁護士が法的整理と交渉に入ったところ、B氏は「刑事告訴だけは避けたい」と繰り返し懇願。会社が保有する不正証拠に強いプレッシャーを感じていた様子であった。

その結果、B氏は甲社に対し、顧客リストの使用中止および営業停止、営業で得た利益相当額の一部支払い、そして「刑事告訴を行わない」ことを条件とした和解合意書の締結に応じた。

さらに、B氏は社会的信用の失墜と今後の追及を恐れ、自ら設立した法人を短期間で解散し、事業から撤退した。


【おわりに】

B氏との縁は一度終わったはずだった。しかし、真に守るべきは「信頼を寄せてくれている顧客」だとA社長は語る。

裏切りに対して感情で動くのではなく、事実と証拠に基づいて冷静に対応する。その道筋を整えたのが、当社ディフェンス・カンパニーであった。

私たちは、顧客と企業の絆を守るために存在する。そして、たとえ小さな不安でも、相談されたその瞬間から、私たちは盾となり、剣となる。

ディフェンス・カンパニーは、困っている人、会社、社会に手を差し伸べる存在であり続けます。


【ディフェンス・カンパニーの格言】

裏切りは、人の行為。信頼を守るのは、仕組みの力。

信頼は感情に委ねるだけでは守れません。制度・証拠・仕組みによって、初めて揺るがない絆となります。


※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。 法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。