【社内スパイが蝕む】

組織崩壊寸前の企業を救った“証拠収集”の真髄とは


精密部品の製造を営む甲社は、業歴30年を誇る老舗の町工場。先代から会社を継いだA氏は、技術畑一筋の誠実な経営者であった。

しかし、ここ数年の業績低下に伴い、幹部社員が次々と辞職。なぜか提案した新製品や商談の内容が、競合企業で先に採用されたという報告が相次ぐようになった。社内からは「社長が信じているあの人が怪しいのでは」という声も出始め、社内の空気は冷え込み、従業員はお互いを疑うように。

そんな時、A氏が出会ったのが、当社ディフェンス・カンパニーだった。

【問題の本質についての分析】

この事案の本質は、社内に潜む情報漏洩者の特定に長期間失敗し、会社全体に不信感が蔓延したことにある。経営者の「人を信じたい」という想いが、裏切りの温床となっていた。

さらに、証拠が曖昧なまま疑惑だけが独り歩きし、誤った懲罰や人事異動が社内のモチベーションを下げる結果となっていた。感情ではなく、動かぬ証拠を元に問題を可視化し、客観的な事実に基づいた対処が求められていた。

【ディフェンス・カンパニーが提供した解決策】

行動分析と調査面談

警察OBが現地に赴き、特定人物への直接のヒアリングを含めた調査面談を実施。言葉の選び方や視線、質問への反応時間など細部にわたり観察。緊張感の中で浮かび上がる“違和感”を丁寧に拾い上げ、対象者の絞り込みに成功。

IT機器と通信履歴の精査

提携IT専門家が、社内の使用端末やメールサーバーを一斉解析。退勤後や休日の通信履歴に注目し、特定の端末から不審なフリーメール宛に数十件の送信ログを確認。本人にしか知り得ない業務情報と一致しており、社内では息をのむような緊張が走った。

社内サーバーのアクセス監査

深夜帯に繰り返されていた社内ファイルへのアクセス履歴を洗い出し。通常勤務とは異なる行動パターンにより、特定の社員による不審アクセスが確定。社員の中には「まさかあの人が…」と動揺する者も。

情報提供者の保護と証言収集

「このままでは会社が壊れる」と不安を抱えながらも声をあげてくれた通報者に対し、身元を守る秘密保持制度を整備。面談は第三者機関を介し、告発者の心理的安全を確保。勇気ある証言が、社内全体に静かな衝撃と敬意を呼んだ。

顧問弁護士との連携

収集したすべての証拠を、当社顧問弁護士に報告。法的観点からの評価と、損害賠償や刑事手続きへの移行判断を依頼。弁護士が正式に受任し、対象者と交渉開始。当社は証拠整理と全体設計をサポートし、法的対応がスムーズに進行するよう支援。

社内コミュニケーション支援

裏切り行為の発覚後、社内は混乱し、動揺も広がった。そこで当社が司会進行を行い、社長自らが全社員に向けて経緯説明と謝罪を行う場を設けた。涙をこらえながら語るA氏の姿に、多くの社員が心を動かされ、再出発への共感が生まれた。

危機対応広報文の作成 取引先や仕入れ先へ不信感が波及しないよう、透明性を重視した事実説明文書を作成。当社が文面の構成をアドバイスし、信頼回復に繋がる発信ができるよう支援。数社から「御社の対応は誠実だった」との連絡を受け、A氏の目には静かな涙が浮かんだ。

【解決へ】

調査開始からわずか3週間、全てのピースが揃った。

証拠はひとつひとつ、淡々と揃えられた。Mailログ、サーバーアクセス、USBの使用履歴、そして内部通報者の証言。それらがひとつの線となって繋がった。

証拠をもとに、顧問弁護士が甲社から正式に受任をし、当該社員に対して民事責任を追及。相手は全面的に非を認め、損害賠償に応じた。

なにより、社内の雰囲気がガラリと変わった。「もう一度この会社を信じて働いてみたい」という声が上がり、社員たちは再び胸を張って仕事に向かうようになった。

A氏の目に涙が浮かんだ瞬間、私たちもまた、この仕事の意味を再確認した。


【法的根拠と解説(当社顧問弁護士による見解)】

本件のように、社員が社外に機密情報を漏洩させた場合、不正競争防止法第2条第1項第7号違反に該当しうる。また、会社に損害が出ている場合には、民法709条に基づく不法行為による損害賠償請求が可能である。

なお、刑事告訴や訴訟手続きは弁護士の正式な受任に基づき行われるものであり、当社ディフェンス・カンパニーはあくまでその準備・証拠収集をサポートし、弁護士と密接に連携しながら進める体制を整えている。


【おわりに】

企業にとって最大のリスクは、目に見えない“裏切り”である。 だが、冷静に、着実に証拠を積み重ねれば、必ず真実は見えてくる。

ディフェンス・カンパニーは、単なる調査会社でもコンサル会社でもない。私たちは、クライアントと共に歩み、心を通わせ、信頼を再生する“もうひとつの警察”でありたい。

ディフェンス・カンパニーは、困っている人、会社、社会に手を差し伸べる存在であり続けます。


【ディフェンス・カンパニーの格言】

信は小事にありて崩れ、大事によりて蘇る

信頼は小さな裏切りで壊れ、正義ある行動で蘇る。真に信頼を守るには、立ち向かう勇気が必要である。


※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。 法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。