【右腕の裏切り】

密室の背任を暴いた執念の防衛劇と企業再生


信頼していた役員による資金流用。会社の危機を救ったのは、元警察幹部による執念の調査だった。 関西圏に本社を置く甲社は、20年以上にわたり地元の建設業界を支えてきた堅実企業でした。そんな甲社に、ある日、「専務のA氏が、裏で会社の資金を自分の関連会社に流している」との情報が入る。

社長は最初、「うちの専務に限ってそんなことがあるはずがない。」と一笑に付しました。A氏は創業時から苦楽を共にしてきた右腕であり、役員会でも強い信頼を得ていたからです。しかし、その後も社内の経理部から「帳簿に不審な動きがある」との報告が相次ぎ、ついに社長は決断しました。

「これは、会社の命運を分ける。身内を信じたいが、事実を確かめねばならない」

選ばれたのが、当社ディフェンス・カンパニーでした。

【問題の本質ついての分析】

この事案の核心は、信頼という名の盲点にありました。長年共に歩んできた役員が、社内の監視体制を逆手に取り、巧妙に資金を私的に流用していたのです。

経理上の数字だけを見ていては気づけない。組織の構造そのものに潜んでいた“見逃される仕組み”こそが、会社を蝕んでいたのです。

私たちは、数字の裏にある“人間の動き”に注目しました。そこにこそ、真実が眠っていると確信したのです。


【ディフェンス・カンパニーが提供した解決策】

元刑事による組織ヒアリング

警察OBの幹部が動き、経理、総務、役員秘書など各部署に個別ヒアリング。日常会話の中から専務の怪しい指示を浮かび上がらせました。

帳簿・契約書の突合作業

社内の弁護士・税理士と連携し、会社の支出と関連会社の収入を時系列で突合。双方の帳簿に重なる数字を見つけ、資金の流れを可視化しました。

IT調査によるアクセス履歴の解析

社内サーバーのログイン履歴、USB接続履歴を解析し、通常業務では不要なデータの持ち出しを確認しました。

探偵会社による行動確認

A氏が勤務時間中に私的に関連会社へ出入りしていた事実を動画と写真で記録し、客観的証拠を収集。

当社顧問弁護士による法的整理と告訴状案作成

私たちの調査結果をもとに、当社顧問弁護士が背任罪に該当する構成要件を確認し、警察提出用の告訴状案を作成しました。

広報リスクへの対応策提案

役員の不祥事がメディアに流出するリスクに備え、謝罪会見のQ&Aマニュアルや社内説明会のスクリプトを準備しました。

株主総会による解任手続き支援

取締役であるA氏の解任について、株主総会の招集から議案の準備、議事録作成までを当社顧問弁護士と連携し、法的整合性を保った手続きが円滑に進むよう全面的に支援しました。 懲戒解任の手続きが法的に整合性を持つよう、当社顧問社労士が懲戒処分書の作成と運用指導を行いました。

【解決へ】

当社が収集した証拠に基づき、当社顧問弁護士が甲社の代理人弁護士となり、A氏側の弁護士と直接交渉を行った結果、警察への告訴状提出に先立って、A氏が事実関係の大半を認めるに至りました。

背任額は5千万円に上りましたが、A氏が所有する不動産・金融資産から約4千万円を即時返還させ、残る1千万円については分割弁済に応じる内容で合意に至り、正式な和解契約が締結されました。

この和解は裁判外での民事的解決となり、甲社にとっては大きな経営的ダメージを最小限に抑える結果となりました。

B社長は「情けない。けれど、真実を知れたことで新しい経営ができる」と涙ながらに語りました。その後、甲社は役員構成を刷新し、内部統制部門を新設。当社のアドバイスにより、再発防止マニュアルも整備され、企業として生まれ変わる第一歩を踏み出しました。

【おわりに】

信頼していた人の裏切りほど、経営者にとって辛いことはありません。しかし、その痛みを乗り越えた先にしか、真の再生はないのです。

私たちは、どんな時でも真実から目を背けません。闇を照らし、企業の命を守ること。それこそが、私たちディフェンス・カンパニーの使命です。

ディフェンス・カンパニーは、困っている人、企業、社会に手を差し伸べる存在であり続けます。


【ディフェンス・カンパニーの格言】

信頼は絆、確認は防衛

どれほど信じた相手であっても、経営とは常に確認を怠らぬことで守られます。疑うのではなく、守るために確かめるのです。


※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。 法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。