企業や個人を狙う現代型詐欺の構造と対抗戦略
近年、企業経営者や資産家を狙った高度な詐欺事件が急増しています。投資話、業務提携、M&A、補助金申請代行など一見魅力的な話の裏に潜む詐欺師の罠。相手が名刺を持ち、法人登記された会社を有し、SNS上で活動していても、それは本物の信用とは限りません。中には、詐欺目的で複数の会社を設立し、経営者を騙し、金銭を巧妙に搾取する「仕組まれた詐欺」も存在します。
【問題の本質についての分析】
本質は、情報の非対称性と、人間関係における「信頼の錯覚」です。詐欺師は、対象者の心理や業界知識の不足を突き、自らの人脈や経歴を過大に装い、合法に見せかけたスキームを構築します。相手を見抜けなかった側にも過失があるかのように思わせる巧妙な設計がされており、騙されたと気づいた時にはすでに証拠が散逸し、取り返しのつかない状況になっていることが少なくありません。
また、詐欺の手口が見破れない理由の一つに、「10の嘘の中に1~2の真実が混じっている」という心理操作があります。これは“信頼性ヒューリスティック”とも呼ばれる心理現象で、人間は一部の事実が確認できると、その全体を信じやすくなる傾向があるのです。詐欺師は意図的に「真実の断片」を交えて語り、相手の警戒心を解くことで、まるで全体が本物であるかのような錯覚を誘導します。
【ディフェンス・カンパニーが提供する解決策】
〇 対象人物・企業の信用調査の徹底
警察OBによる元捜査官のノウハウと探偵会社の調査力を融合し、過去の取引履歴、訴訟歴、役員交代歴、行政処分の有無などを裏付けた徹底調査を行います。
〇 会話記録や取引資料の法的評価支援
当社が収集した証拠資料をもとに、当社の弁護士が法的に立証可能な構成を検討し、告訴や民事請求に向けた補助資料として活用されます。
〇 騙される前の“初期予防”体制構築
不審人物との初期接触段階で、警察OBがアドバイザーとして同行し、冷静かつ的確に相手の素性や話の整合性を分析します。
〇 騙された後の証拠回収・立証支援
被害後も諦めず、LINE履歴、振込記録、名刺・書面・SNS投稿などの断片から、当社調査員とIT専門家が証拠を再構築し、顧問弁護士に報告します。
〇 心理誘導型詐欺に強い「話し方」指導
詐欺師は相手を操作する言葉を駆使します。経営者向けに、詐欺に陥りやすい言語パターンや思考バイアスの回避方法を伝授します。
〇 信頼構築の裏にある「演出」を見破る訓練
名刺や肩書き、第三者の推薦などが与える錯覚を科学的に分析し、経営判断時に使えるリスク検知手法を提供します。
〇 社内リスク研修・役員向け危機管理講座の実施
実際の詐欺事件の構造を再現し、役員・管理職の判断力を鍛える研修を実施。実践的な視点で「見抜く力」を育てます。
〇 弁護士との連携による立証・告訴体制の支援
当社の弁護士が、当社調査結果を法的に精査し、構成要件該当性、違法性、有責性の3要素に基づいて立件可否を判断。告訴・告発は顧問弁護士が正式に受任して行います。
【法的根拠と解説】
詐欺罪は刑法246条に定められ、「人を欺いて財物を交付させた者」は10年以下の懲役に処されます。 また、詐欺の構成要件は以下の通りです。
1.欺罔行為(真実を隠して誤信させる行為)
2.錯誤(被害者が誤信すること)
3.処分行為(財物やサービスの提供)
4.財物の移転と因果関係
最高裁昭和57年4月27日判決(刑集36巻4号1012頁)では、「錯誤の内容が財産権に関係するものである限り、欺罔行為は広く解釈されうる」と判示されました。この判決は、被害者が信じた情報が完全な虚偽でなく一部に真実を含んでいたとしても、それによって誤信が生じ、財産的処分がなされた場合には、詐欺罪の構成要件を満たすとする判断です。つまり、詐欺師が一部の事実を交えて語ることで、あたかも全体が信頼に足るかのように誤信を誘導した場合でも、その全体的構成が欺罔行為とされることを意味し、現代型詐欺において極めて重要な判例的意義を持っています。
【おわりに】
詐欺は巧妙化し、もはや「悪意のある営業」と区別がつかないほどに社会へ溶け込んでいます。しかし、正しく対処すれば未然に防げる被害も多く存在します。当社は、詐欺師に立ち向かうための戦略と技術、そして人材を備えています。
ディフェンス・カンパニーは、困っている人、企業、社会に手を差し伸べる存在であり続けます。
【ディフェンス・カンパニーの格言】
巧言令色、必ずしも仁ならず
話がうまい者が、誠実とは限らない。
※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。 法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。