【誤りなき組織運営の要】

冤罪を生まない組織の条件とは企業と官公庁が学ぶべき「内部監査」と「チェック機構」の構築論


2024年12月、東京地裁は、大川原化工機をめぐる冤罪事件に対し、警視庁公安部の捜査が「違法」であったと断じ、国と東京都に対して損害賠償責任を認定しました。さらに、2025年5月28日、東京高裁は一審を上回る厳しい判断を下し、「合理的根拠を欠いた捜査であり違法である」と認定。生物兵器への転用の疑いで行われた逮捕と起訴が、法に基づく正当性を欠いた手続きであったことが、司法の場で断罪されたのです。

この判決は、警察組織の信頼を揺るがすだけでなく、冤罪により人生を破壊された被害者、国民が負担する国家賠償、そして社会全体の法秩序に対する信頼までも傷つけました。そしてこれは、決して警察組織だけの問題ではありません。企業、官公庁、団体など、あらゆる組織に共通する「内部統制と検証機能の欠如」が、重大なリスクを引き起こすという事実を突きつけています。


【問題の本質についての分析】

組織が誤った判断を下すとき、その背景には多くの場合「内部牽制の不在」「外部視点の欠如」「過信」「忖度」があります。今回の違法捜査は、公安部という閉鎖的な部門において、独善的判断が組織内で検証されることなく押し通され、誰もブレーキをかけられなかった結果とも言えます。

このような構造は、警察に限らず、民間企業や自治体、教育機関などにも共通します。特に近年では、パワハラ、情報漏洩、コンプライアンス違反、不祥事隠蔽といった問題が後を絶ちません。いずれも初動段階で適切なチェック体制が機能していれば、未然に防げたはずの事案ばかりです。

今、あらゆる組織にとって問われているのは、「自浄作用を発揮できる仕組みがあるかどうか」。組織に所属する一人ひとりが、疑問や危機を察知し、上申し、立ち止まれる風土を持つことが、誤った判断から組織を守る唯一の盾なのです。


【ディフェンス・カンパニーが提供する解決策】

外部監査機関としての内部監査実施
組織内部に埋もれがちな課題や、上層部に届かない情報を掘り起こすためには、当社のような外部機関による第三者監査が不可欠です。警察OBや各分野の専門家が中立の立場から調査・評価を行い、忖度や保身に左右されない透明性の高い報告を行います。

〇内部監査制度の設計支援
当社の元警察幹部が主導し、企業リスクに応じた監査項目とチェック体制を構築します。現場に根差した実効性ある監査が可能です。

〇通報制度とヒアリング体制の構築
匿名通報制度や内部告発制度の導入支援を行い、通報者の保護と信頼性ある対応策を提供します。

リスクアセスメント研修の実施
現場の担当者向けに、リスクの兆候を見逃さない感覚と判断力を養うための研修を提供します。

捜査経験に基づく行動分析
警察OBが捜査経験に基づき、職員や関係者の言動・記録・背景を総合的に分析し、客観的な判断材料を提供します。

再発防止のための業務フロー見直し
調査結果を踏まえ、業務プロセスをリスク視点で見直し、事故・不祥事の再発を防止します。

幹部層のリーダーシップ強化研修
管理職向けに、組織の信頼性を守るための意思決定、問題把握力、部下の声を吸い上げる技術を育成します。

倫理規定の再策定と運用定着支援
形式だけで終わらせないために、実際の現場運用に落とし込んだ倫理規定を共に策定し、教育・周知・運用まで支援します。

〇法務連携体制の強化支援
顧問弁護士とスムーズに連携できる社内体制づくりを支援し、法的トラブルへの初動対応力を高めます。

〇緊急時の初動マニュアル作成
捜査機関やメディアへの対応も含めた、危機発生時の初動マニュアルを企業別に策定します。

〇倫理規定と社内啓発の再構築
企業理念に合致した行動規範を策定し、定期的な研修と啓発を通じて倫理意識の浸透を支援します。


【おわりに】

大川原化工機事件のような冤罪が二度と繰り返されないためには、組織の規模や業種にかかわらず、チェックと牽制のメカニズムを整えることが急務です。特に、閉鎖的な部門や権限が集中する領域では、内部からの健全な異議申し立てや、外部の視点を取り入れた検証機能がなければ、不正や誤判断は避けられません。

私たちディフェンス・カンパニーは、単なる危機対応ではなく、再発防止と組織の再生に重きを置いた支援を提供しています。元警察官として、組織の正義を貫くための仕組みづくりを、共に進めていくことを使命としています。


【ディフェンス・カンパニーの格言】
正義とは、声なき声を拾う構造の上に成り立つ


誤った判断を防ぐのは、勇気ある個人ではなく、それを受け止められる組織の器である。


※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。
法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。