上司と部下の関係が、企業リスクに変わる時
ある中堅企業にて、上司と部下の恋愛関係が破綻した直後、女性部下が「セクハラを受けた」と訴えを起こし、SNSにも実名で企業を告発する投稿を行いました。会社は社内外の対応に追われ、結果として顧客離れや社員の士気低下を招きました。最終的には訴訟に発展し、企業は社会的信用と多大な法務コストを失いました。
本事例は決して特殊なものではありません。社内恋愛が自由である一方で、その関係性が崩れた瞬間から、リスクが法的・社会的トラブルへと急転するのです。
【問題の本質についての分析】
〇 社内恋愛は自由意思で始まりながら、破綻後の「主従関係」や「職務上の優越性」が悪用されたと見做されれば、法的にセクハラと判断される。
〇 特に管理職や経営陣が関与する恋愛関係は、ハラスメントとの線引きが極めて曖昧で、訴訟時には企業側の管理責任が問われやすい。
〇 さらに、社内ルールや社内規程で恋愛関係への対応方針が明文化されていない企業ほど、トラブル発生時に初動を誤り、被害が拡大する傾向にある。
〇 SNSの拡散により、訴訟前から「企業の加害者化」が進む時代。法的判断より先に社会的制裁が起きてしまう構造がある。
【ディフェンス・カンパニーが提供する実効的解決策】
〇 社内恋愛に関するリスクマネジメント研修の実施 当社では、管理職を中心に「恋愛とハラスメントの境界線」に関する実務研修を設け、判断の難しいケースについて現場でどう対応すべきかを教育します。
〇 就業規則への「恋愛関係規定」導入支援
法的リスクを最小化するための「社内恋愛指針」や「利害関係者間の申告ルール」の整備を、労務の専門家と連携して策定します。
〇 内部通報制度の設計と改善
第三者的な視点で、ハラスメントや不適切な関係性の通報が機能する制度の導入を支援し、形骸化した制度の改善提案も行います。
〇 トラブル発生時の初動アドバイスと証拠保全支援
初期対応を誤らないために、当社では証拠収集や調査方針のアドバイスを行い、必要に応じて提携弁護士に繋げる支援体制を整えています。
〇 客観的視点による第三者調査の実施
元警察幹部や調査専門家が所属する当社では、問題発生時の内部調査を公正中立に遂行し、調査報告書の作成を通じて訴訟時の証拠化を強力にサポートします。
〇 顧問弁護士との協働による法的対応支援
法的な争いに発展しそうな場合には、当社の顧問弁護士が受任し、示談交渉・訴訟対応を担いながら、当社は必要な情報と資料の提供・アドバイスを行い、強力な支援体制を構築します。
〇 社外対応(広報・SNS対策)の実行支援
SNS等で風評被害が発生した場合には、広報専門家と連携し、記者会見・プレスリリースの文案作成からSNS対応マニュアルの整備まで一貫して支援します。
〇 定期モニタリングと危機管理パートナー契約
一過性の対応ではなく、企業ごとの体質や風土に合わせた定期モニタリングを実施し、継続的な危機管理体制の伴走支援を行います。
【法的根拠と解説】
男女雇用機会均等法の改正により,企業には,セクシャル・ハラスメント(セクハラ)について,雇用管理上の配慮義務が課されました。セクハラとは,職場における性的な言動に起因する問題のことです。これには,性的な言動に対する対応により女性労働者が解雇・配置転換など労働条件上の不利益を受ける「対価型」と,性的な言動により女性労働者の就業環境が害される「環境型」の両方を含みます。
セクハラを行った当事者は,セクハラを受けた従業員等に対し,不法行為の加害者として損害賠償責任を負います(民法 709 条)。そして,セクハラを行った当事者の本件行為が,会社の業務と何らかの関係がある場面で行われたというときには,セクハラが会社の「事業の執行について」なされたものと認められ,会社も使用者責任を問われることとなります(民法 715 条)。
また,当該当事者と,セクハラを受けた当事者の両者を監督すべき立場にある者が,セクハラを受けた当事者の訴えを受けたにもかかわらず,これに何らの対策も講じることなく放置したような場合にも,会社が職場環境を調整すべき義務に違反したとして,使用者責任を負うことがあり得ます。
【おわりに】
社内恋愛は、時に美談として語られることもありますが、経営者として真に向き合うべきは「破綻後」のリスクです。組織の風土やルールが曖昧なまま放置されれば、ある日突然、SNSで実名告発され、取引停止・人材流出・訴訟といった連鎖的損失に見舞われる危険があります。
ディフェンス・カンパニーは、リスクの発生前から「予見し」「防止し」「拡大させない」仕組みづくりを支援し、法務・労務・調査・広報の全方向から、貴社の安心経営を守ります。
私たちは、困っている人、企業、社会に手を差し伸べる存在であり続けます。
【ディフェンス・カンパニーの格言】
愛憎一線
人の感情は、一線を越えると理性を失い、信頼を裏切り、危機を招く。恋愛も契約と同じく、破綻に備える仕組みがなければ、企業は簡単に崩れる。
※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。 法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。