従業員発信の落とし穴と、レピュテーションを守る危機管理戦略
2021年、オルビスのPR担当社員が、商品紹介を自身のSNSで発信したことが発端となり、「ステルスマーケティング(ステマ)」ではないかとの批判を受けて炎上しました。投稿には企業名「ORBIS」の明示がなく、一般消費者と誤認されるような内容がSNSで拡散されたためです。
企業は即座に謝罪し、入社時の教育不足を認め、再発防止策として社内ルールの強化や研修の実施を発表しました。
この件はBtoC企業に限らず、BtoB企業でも十分に起こりうるリスクであり、従業員や外部パートナーによる情報発信の管理体制が問われる事案となりました。
【問題の本質についての分析】
本質は「発信主体が企業と認識されない形でのマーケティング活動」が、消費者保護の観点で重大な問題となるという点にあります。
さらに言えば、現代の企業広報は「企業が発信する内容」だけではなく、「企業に関わる人物の発言」すべてが監視され、評価される時代に突入しているという現実を直視しなければなりません。
従業員やインフルエンサーの投稿が、企業の意思とされ、企業責任として扱われる風潮の中、レピュテーションリスクは経営層が直視すべき経営課題です。
【ディフェンス・カンパニーが提供する炎上リスク対策】
〇ステルスマーケティングの事前チェック体制の構築
企業が依頼・契約するインフルエンサーや従業員のSNS発信について、薬機法・景表法・業界自主基準に違反しない表現かどうか、法務的観点から事前に確認する体制を支援します。
〇PR表記義務の徹底と明文化
ステマと誤解されないための「#PR」「#広告」の適正表示を義務づけた社内ルールの策定を支援します。
〇社内ガイドラインの整備と研修
従業員が私的アカウントで商品を紹介する場合でも、その投稿が企業責任に波及する可能性を踏まえ、ガイドラインを作成。教育研修の導入もご提案します。
〇緊急時の即応型炎上対応体制の構築
SNSモニタリング体制をベースに、初動対応のフロー(モニタリング→調査→判断→発信)を構築。初期消火に失敗しない体制を助言します。
〇第三者的立場からの危機分析レポート作成
炎上事案が発生した場合に、当社が第三者的に分析を行い、組織のレピュテーション管理に役立つレポートを提供。
〇外部パートナーとの契約リスク管理
インフルエンサー、広告代理店との契約内容を見直し、PR明示義務や違反時の対応について明文化することで、責任の所在を明確化。
〇弁護士との連携による合法的対応
違法投稿・虚偽広告に発展した場合の対応については、当社の顧問弁護士が正式に受任し、法的措置を講じる体制をご紹介可能です。
〇モニタリングと警告体制の構築
社内・社外の関係者が炎上の兆候となる投稿をした場合、即座に企業側が察知し、対応に入れるようなアラート体制を整備します。
【法的根拠と解説】
景品表示法(景表法)は「表示により一般消費者に誤認を与える行為」を禁止しており、この事例は優良誤認や有利誤認に該当する恐れがあります。
また、薬機法に基づく広告規制も厳しく、広告主である企業が明示されない状態での宣伝行為は、規制対象になる可能性があります。
さらに、従業員の投稿が業務に関連し「事業の執行につき」なされたと認められる場合、企業は原則として使用者責任を負います。
このように、法的リスクは多岐にわたり、企業単独での判断には限界があります。顧問弁護士との連携、そして実務に精通した危機管理専門家の関与が不可欠です。
【おわりに】
SNS炎上はもはや「突然起きる災害」ではありません。 組織内部のルール整備と教育、そして外部の専門家と連携したリスク管理体制こそが、企業の名誉と信用を守る唯一の道です。
ディフェンス・カンパニーでは、警察OB、弁護士、広報戦略のプロフェッショナルが一体となって、炎上予防・初期対応・再発防止までの一連の流れを支援し、企業の安全な社会的信用の構築に寄与します。
ディフェンス・カンパニーは、困っている人、企業、社会に手を差し伸べる存在であり続けます。
【ディフェンス・カンパニーの格言】
火中の栗を拾う前に、火種を消せ
危機が表面化する前に、兆候を見抜き、先んじて火を断つのが真の危機管理。備えあれば憂いなし。
※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。 法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。