【SNS風評攻撃詐欺】

ネット書き込みを悪用した「新型脅迫型詐欺」に要注意


ネット上の誹謗中傷を書いた犯人が、削除の代わりに金銭を要求。企業のブランドと信頼を狙う、新手のサイバー詐欺が横行しています。

近年、SNSや口コミサイトにおいて、企業名・代表者名・商品名などを対象とした虚偽の書き込みが急増しています。その中には、書き込みをした犯人自身が後日「削除してほしいなら◯◯万円を払え」と要求してくる、いわば「誹謗中傷型の詐欺」と呼べる新たな手口も確認されています。

これは単なる嫌がらせではなく、明確な営利目的に基づいた「ブランド攻撃型の経済犯罪」であり、特に中小企業や個人事業主にとっては、風評被害に加え、対応コスト・営業損失・従業員離職など、甚大な二次被害をもたらすリスクがあります。

【問題の本質についての分析】

この問題の本質は、誹謗中傷という「名誉毀損」にとどまらず、それをネタにして金銭を要求するという「恐喝罪」あるいは「詐欺罪」の構造にあります。

SNSが匿名性を盾にすることで、加害者は自らの投稿を材料に「恐喝者」へと変貌します。「削除しなければ投稿を拡散する」などと明言した場合は、刑法第249条に定める「恐喝罪」に該当する可能性が高く、明確な威圧が認められれば立件も現実的です。

一方で、投稿者が自らの書き込みを第三者によるものと装い、「削除費用」などの名目で金銭を要求した場合には、刑法第246条「詐欺罪」の構成要件

すなわち「人を欺いて錯誤に陥れ、財物を交付させる」に該当する可能性があります。実際、自作自演で被害を演出し金銭を騙し取ったケースにおいて、詐欺罪が適用された事例も存在しています(※当社顧問弁護士による見解)。

つまり、「恐喝か詐欺か」の判断は、加害者の態度・文言・手口の構造に左右され、刑事実務においても慎重な法的整理と証拠の積み重ねが必要です。

加えて、企業側の初動が遅れた場合、当該投稿がAI検索上に残り続け、生成AIがその情報を拾って学習し、「永続的な風評」として広がる危険もあるため、放置は極めて危険です。


【ディフェンス・カンパニーが提供する実践的対応策】

投稿者の特定調査(技術×捜査理論)

当社のIT担当が中心となり、IP開示請求に向けた前提資料の整備や、SNSアカウント運用パターンの解析を実施。投稿者の特定に必要な技術・法律両面を整理します。

〇初動対応マニュアルの設計

書き込みが発見された瞬間からの社内初動体制(通報経路・証拠保全・対外連絡)を平時から整備し、慌てずに対応できる仕組みを提案します。

〇投稿証拠の保全と法的提出用データ整理

画面保存だけでは証拠能力として不十分な場合が多いため、ログ・キャッシュ・タイムスタンプなどを含めた真正証拠を確保する方法を提示します。

〇名誉毀損・信用毀損・威力業務妨害の整理と活用

どの法令で対応可能かを弁護士と協議し、刑事・民事いずれのルートで攻めるかを明示化。

〇警察・ISP・弁護士の連携スキームの構築

単独では解決できない構造に対して、当社が警察・弁護士・プロバイダそれぞれとスムーズに連携し、依頼者のストレスを最小限に抑える「広域対応体制」をご提案します。

【法的根拠と解説】

本件に関連する主な法的構成は以下の通りです。

刑法第249条(恐喝罪)では「人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と定められており、相手を畏怖させる明確な威圧行為が認められれば本罪の構成要件が満たされます。たとえば、「この投稿を削除しないと更に書くぞ」などの発言は典型的な構成要素とされます。

一方、刑法第246条(詐欺罪)は「人を欺いて錯誤に陥れ、財物を交付させた」場合に成立します。犯人が自作自演の投稿であるにもかかわらず、「第三者の投稿で困っている」などと虚偽の説明を行い、削除の名目で金銭を取った場合には、錯誤誘導による詐欺と評価される余地が生まれます。

実際、地方裁判所レベルでは、自作自演で風評被害を装い、企業から対応費用をだまし取った案件で詐欺罪が適用された例も存在しており、構成要件の重なり方によっては両罪の併合余地も否定できません。

なお、どちらの罪にしても、構成要件該当性に加えて、故意の立証や被害者の錯誤・畏怖の程度などの評価が求められるため、単なる削除交渉との線引きには専門的判断が必要になります。


【おわりに】

この「誹謗中傷型詐欺」は、従来のネットトラブルとは一線を画す悪質な構造を持ち、放置することで企業の命運を左右しかねません。

だからこそ、我々ディフェンス・カンパニーは、こうした攻撃から企業と経営者を守るべく、刑事の知見・技術者の知恵・弁護士の力を融合し、立体的に防御を構築します。

ディフェンス・カンパニーは、困っている人、企業、社会に手を差し伸べる存在であり続けます。


【ディフェンス・カンパニーの格言】

筆は剣よりも鋭し

情報社会においては、たった一つの投稿が信用・名誉・事業を切り裂く刃にもなる。 言葉と向き合い、沈黙せずに対抗する構えこそ、経営を守る真の武装である。


※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。 法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。