その後に待ち受ける現実と企業経営者が取るべき対策
企業の経営者や幹部がある日突然、刑事事件で逮捕される。それは決して他人事ではありません。最近では、税務・労務・情報漏洩・補助金詐欺などの“見えにくい犯罪”で、企業の代表者や社員が突如として捜査対象となり、報道されるケースが増えています。
こうした状況で最も恐ろしいのは、逮捕自体よりも、逮捕後に起こる一連の社会的・経営的影響です。たとえ不起訴や無罪であっても、企業イメージは損なわれ、顧客離れ・金融機関対応・株主不信・従業員の動揺・取引停止など、企業存続に直結するダメージを受けることになります。
では、逮捕された場合にその後どうなるのか、企業や当事者はどう備えるべきなのかを、当社の視点から明らかにしていきます。
【問題の本質についての分析】
問題の本質は、「逮捕」という初動対応の一手が、その後の捜査・報道・会社対応・社会的制裁・風評被害の連鎖に直結しているという点です。
一般に、逮捕=有罪という誤解が社会には根強くありますが、実際には逮捕は「捜査上の一手段」に過ぎません。しかしこの一手で、企業の命運が決まるケースすらあります。つまり、逮捕直後に「正しいリスク管理の動線」に乗れるかどうかが、全ての分かれ道となるのです。
企業や個人がこの“嵐”を乗り越えるためには、冷静に法制度を理解し、適切な専門家ネットワークによる即時対応が不可欠です。
【逮捕後の一般的な手続きの流れ(法的整理)】
(当社顧問弁護士による整理)
〇【現行犯逮捕・緊急逮捕・通常逮捕】
警察官の判断または令状に基づき逮捕が行われると、最大72時間以内に「検察官送致(送検)」が行われます。
〇【勾留請求と勾留決定】
送致後、検察官は原則48時間以内に「勾留請求」をし、裁判官が勾留の要件(逃亡・証拠隠滅のおそれなど)を審査。勾留は最大10日間、延長で+10日まで可能(刑訴法208条)。
〇【起訴か不起訴か】
勾留期間中または終了後に、検察官が起訴または不起訴を判断。起訴されれば公判へ。不起訴でも報道等の影響は残る。
〇【保釈・示談交渉】
起訴後は保釈請求が可能となり、示談や裁判対応のフェーズへ移行。社会的信用や企業リスクへの影響はこの時点で既に重大化している場合が多い。
【ディフェンス・カンパニーが提供する防衛策】
〇 緊急時即応アドバイザリー
逮捕報道や早朝家宅捜索など緊急事案に対し、刑事実務に精通した警察OBと顧問弁護士が即応体制で対応。リスクを拡大させない判断を瞬時に提示します。
〇 弁護士との橋渡し役・情報整理
被疑者・関係者との連絡や、事件に関連する資料整理を当社が支援。弁護士が迅速かつ的確な受任判断を下せるよう、プロが下準備を行います。
〇 報道対応・広報戦略
報道が想定される場合、企業イメージ防衛を目的としたメディア対応文案・謝罪文・記者会見支援等を用意。広報専門チームによる戦略的コントロールが可能です。
〇 社内体制の緊急整備
逮捕された人物の権限凍結、代理代表者の設置、取引先への説明、従業員の動揺沈静化など、社内対応の即日策定と運用を指導します。
〇 証拠保全と社内調査支援
社内で関係資料やメール・データなどの改ざん・廃棄を防止するため、即時の証拠保全アドバイスを実施。必要に応じて調査専門部隊(元警察官)による現地確認も行います。
〇 業界・関係機関への説明文作成支援
取引先・金融機関・行政機関に提出する報告文や説明資料を、トーンを精査の上で作成。企業の継続性を守るための「正しい説明力」を支援します。
〇 弁護士との一体連携
当社が構築する状況分析資料を、提携弁護士に共有することで、弁護士の法的主張の裏付けを強化。あくまでオブザーバーとして非弁に抵触せず、戦略的な支援を実施します。
〇 再発防止・リスクマネジメント体制構築
事件後の信頼回復を意識した社内規定見直し・研修・コンプライアンス体制の再構築を支援。再発防止の対外的アピールとしても機能します。
〇 家族や関係者への心理サポート
逮捕により動揺する家族・役員・従業員に対し、心のケアと情報整理をセットで実施。企業における“精神的危機管理”も含めて包括支援します。
【法的根拠と解説】
刑事訴訟法第199条〜210条に基づく手続きの中で、勾留や起訴までの流れは明文化されています。特に刑訴法207条では、「検察官送致後48時間以内に勾留請求または釈放」が明記されており、この限られた時間の中で“適切な防衛線”を構築できるか否かが命運を分けます。
また、東京高判平成12年6月15日では「逮捕報道が会社に与える社会的影響」を企業損害の一要因として認めており、企業防衛の必要性を法的にも裏付けています。
さらに、報道被害と名誉回復の観点からは「人格権」と「営業権」の保護を根拠に民事的対策も視野に入れられます。
【おわりに】
「逮捕」は、法律上はあくまで捜査の入口に過ぎません。しかし、社会的には“人生と企業の終わり”と捉えられてしまうのが現実です。
このギャップを理解し、事前の備えと事後の対応を間違えずに進められるか。それを支えるのが、私たちディフェンス・カンパニーです。警察実務を極めたOBたちと各分野の専門家、そして頼れる提携弁護士との連携により、あなたの企業と大切な人を守り抜く最前線のパートナーであり続けます。
ディフェンス・カンパニーは、困っている人、企業、社会に手を差し伸べる存在であり続けます。
【ディフェンス・カンパニーの格言】
事未萌にして慮(おもんばか)り、患未形にして防ぐ
※危機管理とは、起きてから慌てるものではなく、起きる前に備えてこそ真の意味を持つという戒めを込めた言葉です。
※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。
法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。