巧妙に迫るデジタル時代の罠と、企業と子どもを守る手立て
SNSを通じて若者や未成年が性犯罪の被害に巻き込まれる事件が、今まさに全国で急増しています。なかでも「JKビジネス」「パパ活」「副業斡旋」などを装い、SNS上で児童に接触してわいせつ画像の送信を要求したり、実際に会って性行為に及ぶといった悪質な手口が横行しています。
事案の深刻さは、加害者が一見すると普通の学生や会社員であったり、逆に被害児童が自ら進んで関わってしまうこともあるという点です。こうした構造的要因があるため、「加害者」「被害者」の境界が極めて曖昧になっており、早期発見と組織的な対応が強く求められています。
また、実際に当社の顧問先企業でも、SNSを通じた未成年女性との金銭を伴う関係を理由に、社長が児童買春容疑で突然逮捕されるという事案が発生しました。ある日突然トップが不在となったことで、社内は大混乱。従業員たちは何が起きたのか把握できず、取引先への説明もできないまま契約解除が相次ぎ、企業経営が一気に傾いたという深刻な影響がありました。
このような事例は決して他人事ではなく、経営層や社員一人ひとりのSNS上の行動が、企業そのものの存続に直結するリスクを孕んでいることを如実に示しています。
【問題の本質についての分析】
SNS性犯罪の本質は、「匿名性」「即時性」「心理誘導性」というSNS特有の性質にあります。特に10代の若者は、承認欲求や金銭欲求、恋愛感情などを巧みに利用されたときに、自己防衛の意識を持ちにくいという現実があります。
また、企業としては従業員によるSNSを通じた不適切な関与や、教育機関では生徒同士のわいせつ画像のやりとりが行われているケースもあり、「被害の防止」と同時に「加害の未然防止」も視野に入れる必要があります。
企業の危機管理としても、従業員の私的SNS利用が企業名を巻き込んだ不祥事に繋がるリスクも抱えており、SNSを媒介とする性犯罪対策は、決して「教育現場」だけの課題ではありません。
特に注意すべきは、相手が年齢を偽っていた場合でも、金銭のやりとりを伴う関係を持った場合は児童買春として扱われ、逮捕・起訴された判例が存在する点です。たとえ女性が「18歳以上」と虚偽の年齢を告げていたとしても、実際に18歳未満であり、金銭等のやり取りがあった場合には、厳格に児童買春・児童ポルノ禁止法が適用されます。このような事案では、被疑者の認識の有無にかかわらず刑事責任を問われるリスクが高く、SNS上での接触や出会いには最大限の注意が必要です。
【ディフェンス・カンパニーが提供する包括的支援】
〇 内部SNSリスク監査
従業員・関係者のSNS利用におけるリスク点検を実施し、潜在的なリスクを洗い出します。
〇 青少年へのリスク教育プログラム
警察OBのリアルな現場経験をもとに、学校・塾・自治体での出張講話・研修を実施。
〇 企業向けSNS危機管理研修
従業員がSNSを介して加害者・被害者にならぬよう、具体的事例を交えた研修を実施。
〇 SNS上の異常兆候の調査支援
社内・家庭での不審なSNS利用や急な交友変化に対して、専門調査員が分析支援。
〇 証拠収集・初動対応支援
万一の発覚時には、当社調査員が弁護士と連携し、合法的な証拠保全や関係者の聞き取りを支援。
〇 広報対応支援
事件化した際に想定されるメディア対応・謝罪文の作成・再発防止策の策定を支援。
〇 児童買春・児童ポルノの法的解説と啓発
児童ポルノ禁止法や児童福祉法の最新判例・改正動向を、顧問弁護士の見解付きで啓発資料として提供。
〇 教育現場との連携
学校・PTAと連携した継続的な安全対策支援や、教職員向けの性犯罪リスク管理研修も実施。
〇 社内規程・誓約書の整備支援
社内SNSガイドラインの策定・誓約書による法的抑止力の付与など、実効性のある内部統制の仕組みを構築。
【法的根拠と解説】
・児童買春・児童ポルノ禁止法 第7条(提供・取得の禁止) ・刑法 第176条(強制わいせつ)、第178条(準強制わいせつ) ・児童福祉法 第34条の2(淫行の禁止) ・青少年健全育成条例(都道府県ごとに制定)
また、最高裁平成25年3月18日判決では、「被害児童の自発的関与があったとしても、社会通念上違法性は阻却されない」として、成人側の責任を重く認定しています。
このような判例の流れからも、SNSで未成年と接触し、不適切なやり取りを行うことの法的・社会的リスクは極めて高いと考えられます。
なお、法的対応が必要な場面では、当社が独自に法務を行うのではなく、提携弁護士が受任して法的手続きを進め、当社は証拠収集や状況分析などを通じて法的支援の補佐を行います。
【おわりに】
SNSという便利なツールの裏には、巧妙で予測不能な犯罪が潜んでいます。企業や教育現場がそのリスクと向き合い、予防・監視・初動の三位一体の体制を整備することが、被害を未然に防ぐ最善の道です。
ディフェンス・カンパニーは、こうした社会的課題に正面から向き合い、被害者を守り、加害行為の未然防止にも貢献してまいります。
ディフェンス・カンパニーは、困っている人、企業、社会に手を差し伸べる存在であり続けます。
【ディフェンス・カンパニーの格言】
水火無情
水や火のごとく、SNSもまた扱い方次第で人を助けも滅ぼしもする。
便利なものほど、使い方を誤れば取り返しのつかない災禍となることを忘れるな。
※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。 法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。