【告訴は必ず受理される?】

誤解されがちな「告訴受理義務」の真実と対処法


「証拠は揃っているのに、警察が告訴を受け取ってくれない」
「明らかに刑事事件なのに、これは民事だからと告訴を断られた」
そうした相談が、当社には日々寄せられます。

近年、企業経営者や個人事業主が、業務妨害、横領、詐欺、背任、名誉毀損などの犯罪被害に遭った際、警察や検察に告訴状を提出しても「受理されない」「預かって検討しますとだけ言われ放置される」ケースが後を絶ちません。

特にSNSやネット上には、「最判昭和28年4月30日があるから、告訴は必ず受理されるはずだ」といった不正確な解釈が広まり、現実とのギャップに困惑する方も多いのが実情です。


【問題の本質についての分析】

まず結論から申し上げます。

警察・検察は「私人からの告訴・告発があったからといって、必ずしもこれを受理しなければならない義務は負っていません。」

告訴受理にあたっては、捜査機関の裁量権が強く働き、以下のような点を重視して検討されるのが実務運用です。

  •  構成要件該当性が明確か(犯罪事実と証拠が具体的か)
  •  社会的違法性があるか(民事不介入で済む問題ではないか)
  •  証拠が客観的・合理的か(感情的主張ではないか)
  •  起訴・有罪立証が見込めるか(捜査リソースに見合うか)

そして問題の根源にあるのは、「捜査機関は何でもかんでも受理できるほど余裕がない」という現実と、国民側の「被害を訴えれば必ず捜査されるはずだ」という期待のすれ違いです。

特に企業案件では、民事紛争と刑事犯罪の境界線が複雑に交差するため、証拠構成や構成要件の立証が曖昧なまま提出される告訴状が少なくありません。そのため、「誠実な警察官ほど、安易な受理を避ける」傾向があるのです。


【ディフェンス・カンパニーが提供する解決策】

被害内容の刑事構成要件の徹底分析

元捜査官が、該当行為が詐欺・業務妨害・横領・背任・信用毀損などのいずれに該当するかを精緻に解析します。

〇 証拠資料の整理・検証のサポート

LINE、録音、契約書、送金記録などを整理し、弁護士の告訴状作成を補強する形で、論点と証拠の整合性を徹底確認します。

〇 民事と刑事の峻別を図る論点整理

刑事事件として進めるべきか、民事紛争として処理すべきか、経営判断に資する実務的な方向性を提示します。

被害届・告訴状の弁護士作成支援

あくまで非弁行為を避け、当社顧問弁護士による受任のもと、刑事OBが必要な事件背景や犯罪類型の分析助言を行い、告訴状の精度を高めます。

刑事事件化に向けた戦略的アドバイス

捜査機関との面談に向けた資料準備、供述想定、矛盾排除など、事件化を現実に引き寄せる現場的な視点を共有します。

捜査機関の「受理されやすい構成」の策定

警察が判断する視点を熟知した元刑事が、どこに重点を置いて構成するべきか、提出文書や資料の構成を戦略的に助言します。

顧問弁護士との連携による万全の態勢構築

法律事務は提携弁護士が正式に受任し、当社はその補助的役割として刑事実務知見を提供するという、合法で機能的な分業体制を構築しています。

告訴前の対話戦略・被害者対応指導

相手方との交渉リスクも想定し、事前にどのような対応が適切かをケースごとに慎重に判断・助言いたします。

経営上の影響を最小化する緊急対応プラン

メディア対策、社内説明、信用維持のための文書テンプレートなども含め、企業防衛の全体戦略を設計いたします。


【法的根拠と当社顧問弁護士による解説】

よく引用される判例に「最判昭和28年4月30日(刑集7巻4号741頁)」がありますが、この判例はあくまで捜査機関に対する「誠実義務」について述べたものであり、「私人の告訴・告発を必ず受理しなければならない」という趣旨ではありません。

最高裁はこの中で、

「検察官及び司法警察員は、自己の職責に従い、その能力を尽くして誠実にこれに当たるべき職責がある」

と述べていますが、これは捜査一般の誠実義務を確認したものであり、告訴受理義務の法的拘束力を明言したものではありません。

また、最決平成13年3月12日では、告訴状の不受理に対する告訴人側の異議申し立てが退けられており、「告訴状の受理は捜査機関の裁量に委ねられている」という実務運用が現在も継続されています。

このように、「受理されない=違法」とは直ちにはならず、むしろ形式・内容・証拠構成の不備がある告訴状が敬遠されるのが実情です。


【おわりに】

警察は正義の番人でありながら、現場では限られた人員と時間の中で判断を迫られています。だからこそ、私たち民間側が「受理されるだけの材料と構成」を用意できるかどうかが極めて重要なのです。

ディフェンス・カンパニーは、「告訴したいけど、どうしてよいか分からない」「受理されないと言われてしまった」という経営者や個人の方に対し、戦略と根拠に基づいた支援体制を整えています。

私たちは、警察・検察を敵視するのではなく、その職務の特性と現実を深く理解した上で、最適なアプローチを構築します。

困っているときこそ、頼れるパートナーを。

ディフェンス・カンパニーは、困っている人、企業、社会に手を差し伸べる存在であり続けます。


【ディフェンス・カンパニーの格言】
拳を振るう前に、矛を磨け

怒りや焦りで突撃するのではなく、正しい武器(論理・証拠・戦略)を整えた者が、最後に勝つ。


※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。
法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。