SNS時代の企業防衛戦略~匿名アカウントに泣き寝入りしないため
【現実に起きている事案と背景】
2023年以降、SNS上で企業や個人に対する誹謗中傷・虚偽の投稿が増加し、実害に発展するケースが全国で相次いでいます。たとえば、ある企業の女性社員がX(旧Twitter)で「社長からセクハラを受けた」と匿名で投稿したことにより、企業イメージが悪化。新卒内定辞退が相次ぎ、取引先との関係にも影響が出たと報じられました。
さらに、総務省の「違法・有害情報相談センター」によると、SNS上の誹謗中傷相談件数は年間5,000件を超え、特に名誉毀損や信用毀損に関する相談が目立つ状況にあります。
このような匿名性を悪用した誹謗中傷が放置されれば、企業や経営者の社会的信用は一瞬にして崩壊しかねません。当社にも実際に「社名を名指しされた」「代表の名前で虚偽の書き込みがされた」といった深刻な相談が寄せられ、告訴や損害賠償請求に至る事例が後を絶ちません。
【問題の本質についての分析】
誹謗中傷対策というと、すぐに「弁護士に相談すべき」と考えがちですが、現実には法的手続きだけでは限界があります。
SNSアカウントが一時的なものである場合や、投稿削除によって証拠が失われる可能性があるケースでは、スピードと情報収集能力が問われます。
警察での捜査も、脅迫や名誉毀損であれば告訴によって捜査が開始される可能性はありますが、投稿が微妙なラインにある場合、受理されずに終わることも多いのが実情です。
つまり、法と現場、両方の目線を持ち、攻めと守りを同時に設計できる存在でなければ、この問題は解決できません。
【ディフェンス・カンパニーが提供する解決策】
〇 初動分析とデジタル証拠保全
まず、投稿内容・アカウント属性・投稿時間・使用端末の痕跡など、IT調査専門会社と連携してデジタル情報を保全・抽出します。これにより、削除されても証拠を保持できる体制を整えます。
〇 加害者像のプロファイリングと社内スクリーニング
元大阪府警捜査一課の技術を活かし、文体分析・投稿タイミング・内部情報との整合性から、投稿者の属性・動機・組織内関係性を読み解きます。これにより、内部犯か外部犯かの目星を付けた上で社内調査を進めます。
〇 発信者情報開示請求の法務連携
投稿者が特定され次第、顧問弁護士と連携し、IPアドレスの開示請求・発信者特定手続き・損害賠償請求へと進めます。民事・刑事の両面からのアプローチで、投稿者を追い詰めます。
〇 警察への告訴サポートと戦略的構成
投稿内容が刑事事件に該当する場合には、警察OBとして捜査の実態と基準を熟知している我々が、的確な告訴状の構成、証拠整理、被害の深刻性を明確に伝えることで、事件化へと導きます。
〇 社内規程の整備と誓約書活用
再発防止のため、SNSに関する懲戒規程の明文化や、入社時・退職時に誓約書を交付する制度設計をサポートします。意識付けと法的根拠の明示により内部告発型誹謗の抑止につなげます。
〇 削除請求と検索エンジン対策
実害が及んでいる投稿に対しては、プラットフォームへの削除請求を実施し、並行してGoogleなどの検索結果からの削除(いわゆる忘れられる権利)にも対応可能です。
〇 広報戦略と社外向け対応支援
風評が拡散した場合、沈黙では不安を招くだけです。必要に応じて、顧客・取引先・応募者に向けた公式見解やFAQの作成を支援し、冷静かつ信頼を失わない説明を設計します。
〇 投稿防止の技術的対策提案
特定の掲示板・口コミサイトなどに対して継続的に悪質投稿が行われている場合は、アクセスブロック、AI検知システムの導入など、技術的なアプローチによる再発防止策を提案します。
【法的根拠と解説】
名誉毀損罪(刑法第230条)や信用毀損罪(刑法第233条)に該当する投稿は、形式的には刑事事件の対象となり得ます。
最高裁平成22年4月13日判決では、インターネット上の匿名投稿に対し、名誉毀損の成立を認めた上で、「被害者の社会的評価を低下させる内容であれば、公然性の要件を満たす」とされました。
この判例が示すように、インターネット上の投稿も「公然と事実を摘示する」行為と評価され、企業に関する虚偽情報の流布は名誉毀損罪の成立が可能となります。
また、プロバイダ責任制限法第4条に基づき、発信者情報開示請求を行うことで、裁判所を通じて投稿者のIP情報やログイン履歴を取得する道が拓かれます。
ただし、これらの法的手続きは時間がかかるため、初動の証拠保全・投稿者特定に強い当社のような調査主体との連携が不可欠です。
【おわりに】
SNS時代において、誰もが発信者となり、誰もが被害者となり得ます。
しかし、匿名だからといって「どうせ見つからない」と思わせてはいけません。
ディフェンス・カンパニーは、声なき被害者の代わりに、現場で行動する正義を貫きます。投稿者を特定し、責任を取らせるところまで、一歩も引かずに徹底的に追及します。
【ディフェンス・カンパニーの格言】
正義は、沈黙する者ではなく、声を上げた者に宿る。
この言葉は、我々が危機管理において最も大切にしている信念です。
社会に不正や不当な扱いがある中で、声を上げることは時に勇気を要する行為です。しかし、その声が未来を変える一歩であり、真の正義は「行動を起こす者」の側に宿ると私たちは確信しています。
※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。 法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。