元社員が顧客を奪って営業開始、企業はどう守ればよいのか
「うちの顧客リストが、なぜか他社に流れている」
「辞めたばかりの社員が、競合企業にそっくりなサービスを始めていた」
「契約書で禁止していたのに、個人で営業活動をしている」
近年、退職した元社員による「裏切りの競業行為」が後を絶ちません。
2024年12月には、あるスタートアップ企業が元社員による営業秘密の持ち出しを理由に、不正競争防止法違反で刑事告訴し、全国ニュースとなりました。
この元社員は、在職中に得た仕入先情報や顧客の属性データを流用し、競合会社に転職後すぐに「そっくりな商材」を販売。企業側が気づいたときには、すでに多くの取引先が移行していたのです。
まさか、信用していた社員が。
そんな声が多くの経営者から聞こえてきます。
【問題の本質についての分析】
この問題の根幹にあるのは、「信頼関係の裏切り」と「初動対応の遅れ」です。
企業は元社員を疑いたくないがゆえに、問題を把握しても動き出しが遅れがちです。そして、多くの会社が「証拠がないから無理だろう」と泣き寝入りしてしまうのです。
しかし、私のように数多くの悪意と対峙してきた者からすれば、こうした事案は「捜査可能」です。
行動履歴、持ち出されたデータの痕跡、同業他社との接点、そして何より「本人の発言」や「SNSの投稿」から事実関係は徐々に浮かび上がってきます。
警察組織にいた者として、組織の内部情報が漏れることの重大さは痛いほど理解しています。
企業の情報漏洩も、それと本質的には同じ「組織の生命線を絶たれる」リスクです。
このような行為を「退職後の自由」として許容していては、次なる裏切り者を生み出すだけなのです。
【ディフェンス・カンパニーが提供する解決策】
〇 「証拠がない」と決めつけない
まず大切なのは、「証拠がない」と諦めないことです。LINE履歴、メールのやりとり、退職直前の行動、端末のアクセスログなど、必ず何かしらの「痕跡」が残っているものです。
〇 退職者の行動分析を徹底的に行う
私たちは独自の分析手法を活かし、退職前後の行動を詳細に調査します。顧客への接触履歴やSNSでの匂わせ発言など、意外と表に出ている情報から突破口が見つかることもあります。
〇 競業行為の「グレーゾーン」を明確にする
多くの企業が「競業禁止」を就業規則に書いていても、実際には法的拘束力が乏しいケースがあります。私たちは、実効性ある誓約書や業務委託契約の整備をサポートします。
〇 在職中の情報持ち出しをフォレンジックで調査
パソコンや社用スマホからのファイル送信履歴、外部ストレージへの転送記録など、専門的な調査により「いつ・何を・どう持ち出したか」を客観的に立証可能です。
〇 顧客からのヒアリングで関係性を可視化する
元社員が顧客に対してどんな働きかけをしたのか、取引先から直接ヒアリングすることで、第三者の証言として有効な証拠が得られることもあります。
〇 刑事告訴を見据えた証拠保全と文書化
不正競争防止法違反による告訴を視野に入れ、証拠の保全・告訴状作成・顧問弁護士との連携を行います。泣き寝入りではなく、法的措置に出ることで再発防止に繋がります。
〇 元社員の「動機」と「手口」から再発防止策を立案
なぜ、その社員は裏切ったのか。何が盲点だったのか。経営者自身がこの問いに正面から向き合い、採用・管理・契約のあり方を見直すことも大切です。
〇 法的リスクを加味した「辞めさせ方」の設計
辞める際の手続きやヒアリングが甘いと、退職者にとって“何でも持って出ていい”という誤解を与えてしまいます。退職時の対応もまた危機管理の一部なのです。
【法的根拠と解説】~ 当社顧問弁護士の見解
〇 不正競争防止法2条1項7号・8号の該当性
営業秘密を不正に取得・使用・開示した行為、または「限定提供データ」の不正使用に該当する行為は、同法上の不正競争に該当します。
【参考判例】東京地裁平成21年7月17日判決(H18(ワ)第23898号)
元社員が在職中に仕入先情報を持ち出し、退職後に競合会社で使用したとして、不正競争防止法違反が認められた事例。裁判所は「情報は容易に入手できず、秘密として管理されていた」として営業秘密該当性を認定しました。
この判例から導かれる教訓は、「情報の管理体制」と「アクセス制限の有無」が極めて重要であるということです。つまり、日ごろからアクセス権限を適正に管理し、社内ルールや誓約書に明記しておくことで、裁判でも有利に立つことが可能となります。
そのためには、社内での情報区分の明確化、クラウド管理のセキュリティ強化、そして定期的な研修が実務への落とし込みとして不可欠です。
【おわりに】
かつての仲間が、ある日突然、敵になる。
そんな現実が今、あなたの会社にも起こるかもしれません。
「疑うことは悪」ではありません。「守るべきものを守る」ことが、経営者にとって最大の責務です。
ディフェンス・カンパニーは、困っている人、企業、社会に手を差し伸べる存在であり続けます。
【ご相談はこちら】
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【ディフェンス・カンパニーの格言】
裏切りを許すな、備えが信頼を守る
裏切りは突然訪れる。だが、備えていれば、信頼は壊されない。そのために、今できる準備を怠ってはならないという信念から命名。
※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。
法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。