スマホの履歴が、企業の命運を分ける時代に。
企業における労務トラブルや社内不正、そして時に刑事事件へと発展する重大な問題の裏には、必ず「証拠」の存在が問われます。
近年、そうした証拠の中でも急速に重要性を高めているのが、LINEやSNSなどの「電子コミュニケーション履歴」です。
「言った」「言っていない」の水掛け論が発生したとき、最後にものを言うのは“記録”です。
それも、社外向けの書面ではなく、むしろ何気ないやりとりの中にこそ、真実が現れます。
私たちが支援している企業案件でも、LINEトークが勝敗を決めた例は数知れません。
【問題の本質についての分析】
LINEやメッセージアプリは、もはや単なる連絡手段ではなく、「証拠装置」「感情の記録装置」としての機能を持っています。
しかし、企業の多くがその“価値”や“危険性”に気づいていません。
たとえば、
・残業の事実を巡る労働審判で「勤務時間外に送信された雑談LINE」が鍵を握る
・ハラスメントの証拠として「過去に好意を示す内容」が提出される
・顧客情報の漏洩経路として「LINEでの無断転送」が問題視される
など、スマホ一つで、組織の信頼が揺らぐ時代となっているのです。
【ディフェンス・カンパニーが提供する解決策】
〇 証拠保全支援
企業内トラブルにおける最初の関門は、「適切に証拠を保存できているか」です。LINEトークやSNS履歴は、相手に開示を求める前に、自社側が万全な形で保存しておくことが極めて重要です。当社では、証拠性を担保する形式(スクリーンショット、PDF保存、データ復元など)を個別の状況に応じて設計し、法的効力を失わない形での保全支援を行います。
〇 ハラスメント・労務調査支援
LINEの言葉遣いや呼称の変化、メッセージの頻度や時間帯などから、当事者間の関係性や心理的優越・依存関係を分析します。これにより、単なる「言葉の有無」ではなく、その背後にある力関係や意思の流れまでを見極め、企業側の立場を守る実態解明が可能になります。特に、申立人側が「被害者性」を主張する場面では、本当にそうであったかを冷静に裏付ける資料となります。
〇 デジタルフォレンジック協力
LINEの履歴は簡単に削除・改ざんが可能な一方、それを裏付ける解析技術も進化しています。当社では、提携する専門事業者と連携し、LINEの削除・編集・送信日時の改変有無を調査することで、証拠の真正性・信頼性を高める対策を講じています。これにより、「都合の悪い部分を削除したLINE」が提出された場合でも、反証が可能になります。
〇 文脈を重視した証拠構成支援
労働審判や裁判で重視されるのは、個別発言の「切り取り」ではなく、やり取り全体の流れです。ディフェンス・カンパニーでは、LINEの前後文脈を含めた構成資料を整理し、「なぜその発言に至ったか」「やり取りに継続性があるか」といった点から、裁判官・調停官の「心証」を形成する支援を行います。たとえば、恋愛的な文脈が継続していた場合、突如のセクハラ主張が通りにくくなるといった効果があります。
〇 SNS・LINE活用ルールの整備
LINEやSNSを業務で使用している企業では、あらかじめ「どう使うか」「どこまで公私を分けるか」というルール作りが極めて重要です。LINEが原因で訴訟に発展する例も多く、無意識のうちにトラブルの火種を生むケースがあります。当社では、ガイドラインの整備や教育指導を通じて、社員のリスク意識向上と未然防止体制の構築を支援します。
〇 相手方証拠への反証戦略の構築
相手弁護士が提出したLINEの「証拠」が、実は恣意的に編集・構成されていることは少なくありません。当社では、提出されたLINE履歴の不自然な切り取り、不一致、前後省略の可能性を徹底的に精査し、「印象操作」による誤解を崩すための反証構成を実行します。場合によっては、逆に相手の信用性を損なう重要な反撃材料ともなり得ます。
〇 法廷対応を前提とした証拠の使い方指導
LINEは扱い方次第で有利にも不利にも働く証拠です。当社は、証拠提出の順序、補足資料との組み合わせ、陳述書や主張構成との整合性などを踏まえ、「心証操作」として最も効果的な使い方を指南します。経験則として、たった一言のトークが裁判官の判断を動かすケースも少なくありません。
【法的根拠と解説】~当社顧問弁護士の見解
近年、LINE等の電子履歴は、労働審判・民事訴訟・刑事事件においても、極めて重要な証拠と位置づけられています。
たとえば、東京地裁令和2年12月8日判決では、元従業員が提出したLINE履歴の一部に「恣意的な切り取り」があったとして、証拠の信用性が否定されました。
重要なのは、
①全体のやりとりを通じた文脈
②タイムスタンプ
③当事者の関係性・呼称・口調
などであり、一部だけを抜粋しても、法的評価には耐えないことが明らかになっています。
したがって、企業としては“全体保存”“タイムライン整備”“矛盾点の指摘”を含め、戦略的証拠構成が求められます。
【おわりに】
LINEは、感情をそのまま記録する装置であり、嘘が通用しない「真実の鏡」です。
企業としては、この時代における最大のリスク管理資産が『スマホの中にある』という事実を見逃してはなりません。
ディフェンス・カンパニーは、警察OB・弁護士・IT専門家の力を結集し、
「証拠を守る力」「証拠で戦う力」「証拠から会社を救う力」を提供してまいります。
【ディフェンス・カンパニーの格言】
記憶は曖昧でも、記録は雄弁である。
人の記憶は、感情や時間の経過によって変容し、時に都合よく塗り替えられます。
しかし記録は、嘘をつきません。LINEやSNSの履歴に刻まれた言葉やタイムスタンプは、その瞬間の感情、関係性、状況までも雄弁に物語ります。
※当社の提供するコラムは、法的判断・訴訟方針の最終決定を示すものではありません。具体的対応については、弁護士または専門家と個別にご相談ください。