【職場の闇に射した光】

パワハラに苦しむ従業員を救った、民間警察の真価


甲社は地方都市にある老舗の運輸会社でした。従業員数約50名、その中で最もベテランのA氏(60代)は長年の勤務経験を盾に、若手社員や女性運転士に対して執拗なパワハラを繰り返していました。

毎朝の点呼で怒鳴る、些細なミスを人格否定にまで発展させる、そして時には自宅への電話やSNSでの嫌がらせ。心を病み退職する社員が相次ぎ、残された者も皆一様に疲弊していました。

ある日、女性運転士の一人が命を絶とうとしたことで、ついに社内で問題が表面化します。しかし、甲社の経営陣は「昔ながらの指導」として取り合わず、現場に押しつけるだけ。誰も責任を取らず、現場の苦しみは放置されていました。

そこで、ある中堅社員が弊社ディフェンス・カンパニーに相談の連絡をくださったのです。

【問題の本質についての分析】

この問題の根幹は、「権限と経験を誤ったかたちで行使し、長年放置された社内文化」にありました。

単なる一人のパワハラ行為ではなく、経営陣の黙認、同調圧力、そして「声を上げると自分が潰される」という恐怖が組織全体に染みついていたのです。まさに、構造的ハラスメントの典型例でした。

被害者の孤立、証拠の消失、加害者の既得権益と長年の支配構造。これらをすべて打破しなければ、真の解決には至りませんでした。

【法的な位置づけと解釈】

職場における継続的な暴言、脅迫、無視などの行為は、「パワーハラスメント」として労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)において防止措置が義務づけられています。具体的には、

①優越的な関係に基づき

②業務の適正な範囲を超えて

③身体的・精神的苦痛を与える

行為が対象となります。

加えて、使用者責任(民法第715条)や安全配慮義務違反(労働契約法第5条)も問われうるため、会社がこの問題を放置していた場合、損害賠償請求の対象にもなり得ます。

本件においては、当社顧問弁護士の見解に基づき、A氏の言動は明確にこれらの基準に該当し、また会社の対応不備についても法的責任が生じうる状況であると判断されました。


【ディフェンス・カンパニーが提供した対応策】

精密な聞き取り調査の実施

弊社の現役時代は捜査一課で極めて優秀な取調官であった警察OBが、現場に潜入する形で複数の従業員に個別ヒアリングを行い、匿名性を厳守しながら詳細な証言を収集しました。

過去5年分の被害ログの復元

社員のスマートフォンや日報、メール履歴を分析し、過去の被害記録を時系列で整理しました。

社内録音・映像の精査と合法的取得

社内カメラや、従業員が独自に録音していた音声ファイルを当社顧問弁護士の指導のもと適法に整理・保全しました。

弁護士と連携した加害者への警告書作成

正式に弁護士に委任し、弁護士名で、A氏に対し正式な警告書を発出。示談ではなく法的責任も視野に入れた厳正な対応に出ました。

社内研修の再構築と実施

ハラスメント防止研修を新たに企画し、弊社が監修・講師を務めて実施。経営陣にも出席を義務付け、再発防止を図りました。

被害者への心のケア支援

提携する臨床心理士による個別カウンセリングを案内。心のケアも業務と同等に扱う体制を整えました。

第三者通報窓口の構築

弊社を通じた外部通報窓口を新設し、今後の相談も匿名で行えるよう仕組み化しました。

メディアリスクへの対策

報道対策として、当社の広報担当がメディア対応のマニュアルを整備。情報漏洩の危機から甲社を守る体制も整備しました。

【解決へ】

一連の施策の結果、A氏は自らの非を認め、退職。甲社では経営陣の体制が一部刷新され、社員全員が納得する再発防止策が組まれました。

「もう辞めようと思っていた。でも、この会社を変えてくれてありがとうございます。」と、相談してくださった社員の言葉が胸に残ります。

パワハラという見えにくい暴力。それに一筋の光を当て、勇気ある一歩を支えられたことが、私たちにとって何よりの誇りです。


【おわりに】

私たちディフェンス・カンパニーは、警察OBの実務経験と各分野の専門家が一体となった危機管理のプロ集団です。

法的交渉や訴訟、告発状の作成は当社の顧問弁護士が担当し、調査・資料収集・内部統制や広報リスクへの対応は当社が担います。

誰かの人生を壊す理不尽に、私たちは絶対に目をつむりません。

困っている人の盾、会社の盾、社会の盾となり、ディフェンス・カンパニーは、困っている人、企業、社会に手を差し伸べる存在であり続けます。


【ディフェンス・カンパニーの格言】

見えない敵を暴くのが、真の正義だ

暴力や不正は、必ずしも目に見える形で現れるとは限りません。だからこそ私たちは、潜む危機を見抜き、誰よりも先に行動します。


※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。 法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。