社員が逮捕されたとき、企業はどう対応すべきか
「社員が逮捕されたのですが、何から対応すればいいでしょうか?」
これは実際に、ある中小企業の総務担当者から相談を受けた一言です。社員が自宅で警察に逮捕されたと連絡が入り、動揺した社内では「すぐに懲戒解雇して良いのか?」「メディアにバレるのか?」「会社の責任は問われるのか?」と混乱が広がっていました。
近年、SNSの普及により事件報道の拡散が早まり、個人情報の漏洩リスクが高まっています。逮捕された社員が会社名を公開された場合、企業イメージや株価、取引先からの信頼に直結する危機となり得ます。その一方で、過剰な対応は、逆に「不当解雇」や「名誉毀損」として訴えられるリスクも孕んでいます。
つまり、企業は逮捕という突発事案において、「社員の権利」と「企業の防衛」をいかにバランス良く両立させるかが問われているのです。
【問題の本質についての分析】
警察の立場から言えば、「逮捕」はあくまで「身柄拘束」であり、「有罪確定」ではありません。現行犯逮捕であれ、令状逮捕であれ、そこには法的根拠が必要であり、嫌疑が重大であっても起訴されなければ前科はつきません。つまり、「逮捕された」という事実だけで、企業が即懲戒処分に踏み切るのは危険です。
他方で、逮捕が社外に知れ渡った場合、取引停止・顧客離反・採用活動への悪影響といった経営リスクが直ちに表面化します。メディア報道が先行し、虚偽や誤解が拡散される前に、企業として「主導的に動く姿勢」が不可欠となります。
本質的に重要なのは、「逮捕は企業にとって『両刃の剣』である」という認識と、初動の誤りがその後の経営・訴訟・評判に直結するという危機感です。
【ディフェンス・カンパニーが提供する解決策】
〇 初動対応の即時アドバイス
逮捕の連絡を受けた段階で、事実確認と状況整理を迅速に行い、警察への連絡・広報方針・社内通知の内容を戦略的に設計します。
〇 メディア対応の戦略構築
事件内容が公になる前に、プレス対応案・想定質問集・社内報告書を作成し、企業が不利な報道を受けないよう対策を講じます。
〇 社内リスクの遮断
他の社員への波及を防ぐため、社内での噂拡散やSNS投稿リスクを管理するための行動規範を即日策定し、全社員に通達します。
〇 懲戒判断の法的裏付け
起訴前後に応じた懲戒処分の可能性を弁護士と連携して判断し、「懲戒解雇が妥当とされる要件」に該当するかを精査します。
〇 家族・取引先への説明支援
関係者が動揺・離反しないよう、被疑者家族や主要取引先に対する誠実かつ冷静な説明文案を提供します。
〇 社内調査の並行実施
事件が業務中か私生活中か、業務に関連するか否かの事実調査を社内で行い、社内的な対応方針を明確化します。
〇 本人への接触と記録保全
接見可能であれば、当社コンサルタントが接触し、本人の主張と状況を聴取。供述や警察の動向についての記録を会社視点で整理します。
〇 再発防止に向けた制度見直し
事件発生後、類似リスクを未然に防ぐ就業規則・研修体制・通報制度の再整備を支援します。
【法的根拠と解説】~当社顧問弁護士の見解
〇 「懲戒処分の有効性」に関する判例
最高裁昭和54年10月30日判決(日本鋼管事件)では、「私生活上の非行でも企業の社会的評価を著しく損なう場合には懲戒処分は有効」とされました。 この判例は、社員が逮捕された事実だけではなく、「会社の名誉・信用にどのような影響を与えたか」を基準としています。すなわち、メディア報道や取引先動向を踏まえ、「企業イメージに著しい悪影響がある」と認められれば、懲戒解雇も合法となりうるのです。
〇 実務への落とし込み
この判例に基づくと、就業規則には「会社の名誉を毀損する行為」や「社会的信用を著しく損なった場合」に関する懲戒条項を明記しておくことが極めて重要です。また、懲戒処分に踏み切る前には、警察・本人・報道・社内調査の四方面からの情報収集が必須となります。
【おわりに】
社員が逮捕されるという事態は、企業にとって想定外の“有事”です。しかし、対応を誤れば、さらに深刻な信用失墜や訴訟リスクを招きかねません。企業として最も守るべきは、「自社の信頼と、残された社員・取引先の安心」です。
ディフェンス・カンパニーは、困っている人、企業、社会に手を差し伸べる存在であり続けます。
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【ディフェンス・カンパニーの格言】
逮捕に動揺するな、沈着冷静が勝負を分ける
予期せぬ事件のときこそ、感情ではなく戦略で乗り越えるべきである。
※本記事は、危機管理コンサルタントとしての見解を示したものであり、法的助言や法律事務の提供を目的とするものではありません。 法的判断が必要な場合は、当社の顧問弁護士をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。