取引先倒産を見抜く観察力

数字に潜む「異常のサイン」をどう掴むか


ある日突然、長年の取引先が倒産した。残されたのは未回収の売掛金と途方に暮れる経理担当者。これは決して珍しい話ではありません。
私が刑事時代に詐欺事件や経済事件を捜査した際も、倒産直前の企業には必ず「兆候」がありました。しかし多くの経営者や担当者は、目の前の取引に安心し、その小さなサインを見落としてしまうのです。粉飾決算、資金ショート、資金繰りのごまかし。それらは必ず「行動」や「数字」に現れます。

【問題の本質についての分析】

企業倒産のリスクは突然やってくるように見えて、実際には時間をかけて進行しています。
粉飾決算による虚偽の信用作り、支払サイトの延長要請、経営者の生活の異常な豪華化、そして銀行取引の縮小。刑事の現場で身につけた“観察力”で見れば、そこには一貫したパターンがあるのです。問題は、こうした兆候を「見えていながらも見ない」ままにしてしまう経営現場の習慣です。


【ディフェンス・カンパニーが提供する解決策】

財務データの異常値確認
 直近の決算や四半期資料において、売上高の急増や在庫の不自然な膨張があれば粉飾の可能性があります。刑事的視点では「数字が現実に合っているか」を常に疑います。

支払い遅延のパターン分析
 入金遅延や小額だけの分割払いが常態化していないか。支払サイトを一方的に延長する要求は、資金ショートの典型的兆候です。

経営者の行動観察
 取引先の経営者が突然豪華な車や住居に変えたり、逆に露骨に姿を見せなくなった場合、資金繰りや不正処理を隠しているケースがあります。人間観察の目線が有効です。

銀行・金融機関との関係調査
 銀行取引が急に縮小した、複数の金融機関に借入を分散し始めたなどの動きは、信用不安のサインです。

現場社員の“つぶやき”を拾う
 従業員の不満や噂話には、倒産リスクの種が潜んでいます。「給与が遅れている」「残業代が出ない」といった声は、最も正確な内部情報源です。

仕入先や別の取引先からの情報収集
 直接相手に聞けない時は、同業他社や仕入先から「支払いは順調か」と探りを入れる。刑事の現場でも“外堀”を固めて情報を得ていました。

危機管理+法的リスクの二重チェック
 当社では元刑事によるリスク観察に加え、(当社顧問弁護士)が契約条項からの法的リスクを精査します。これにより「兆候を掴む」だけでなく、「実際に契約でどこまで守れるか」を二重に確認できます。


【法的根拠と解説】(当社顧問弁護士の見解)

民法533条(同時履行の抗弁権)や民法540条(解除権)により、相手が債務不履行に陥った場合、契約を解除して損害拡大を防ぐことが可能です。しかし、契約条項に解除条件が明確に定められていないと、倒産直前まで取引を続けざるを得ないリスクがあります。そのため、契約書段階から「支払い遅延が一定期間続いた場合は解除可能」といった条項を設けることが不可欠です。


【おわりに】

倒産リスクは「気づいた時には遅い」のが現実です。だからこそ、刑事が事件現場で培った“観察力”を経営現場に応用することが必要です。小さなサインを拾い上げ、最悪のシナリオを避ける準備を怠ってはなりません。
ディフェンス・カンパニーは、困っている人、企業、社会に手を差し伸べる存在であり続けます。


【ディフェンス・カンパニーの格言】
倒産は静かに近づく影である

突然に見えても、その影は必ず前から伸びてきています。気づけるか否かが生き残りの分岐点です。


※本コラムは一般的情報提供を目的としており、法律業務に該当するものではありません。個別案件については必ず弁護士等の専門家にご相談ください。